
Kenji Ikegami
Kannon
Crosspoint/17853 Records (Japan) 2025
KOKO-136/RFLP008 (LP)
sleeve : NEW
media : NEW
当店主宰レーベル17853 Recordsの最新作です。
『Soft meets Pan / Tam』(2021年)、『WaNaWa/ WaNoWa』(2023年)、『Zen Ensemble / Garden Of Time』(2024年) とアナログ・リリースを重ねてきた、JUZU a.k.a. MOOCHY主宰CROSSPOINTとChee Shimizu主宰17853 Recordsによるコラボレーション企画の第4弾として登場するのは、日本古来のエスニック・ミュージックとアンビエント/実験音楽を独自の世界観で融合する尺八奏者KENJI IKEGAMIによる最新作。テリー・ライリーの精神を継承するチェロ奏者の瀬藤康嗣 a.k.a. Denca、アイヌの伝統楽器ムックリの奏者 UtaEとの共演による長尺曲を 2 曲収録。
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KANNNON(観音)は、池上による尺八と、瀬藤康嗣による即興演奏を主体としたチェロのデュオ曲である。小川のせせらぎ、小鳥のさえずりのごとく静かに浮遊する鳴り物が竹林の風景を想起させるイントロダクションから、尺八のひと吹きがはじまる。尺八のロングトーンは残響を伴いながら積層され、ドローンを形成する。インスピレーションを得たチェロは奔放に旋律を重ね合わせていく。ふたつの楽器の音色と旋律は相反することなく、不思議な音像を描きながら静かに頂点へと向かい、やがてふたたび、静謐な竹林へ同化していく。
RAVENは、2021年に東京のおおばキャンオプ村で開催されたフェスティバル<Oneness Gathering>でのライブ・レコーディング音源である。アイヌの伝統民族楽器であるムックリを演奏するUtaEと、池上の尺八とのデュオ、すなわち、竹と竹の共演である。尺八の音色が持つ特有のふるえを随所に効かせながら、パースペクティブな音像を描いていく尺八のアンビエンス。その中央でムックリの奏でるビブラート音が太陽光線の如く降り注ぐ。
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正直に言ってこのふたつの楽曲は、私が長いあいだ聞いたなかで最も奥深く、最も強烈な音楽だ。活気に満ちたサウンドは聴き手に集中を促し、遠くまで連れて行ってくれるが、一歩も動くことなく、内面に響き、まるで隠されている生きた和音に触れるかのようである。長い呼吸のような美しさ、海が私たちに与えてくれる物語、春を告げる速い雲、花と牧草地の香りがする風、踊る木々の何千もの葉…。 心に語りかける素晴らしい音楽だ。ー Gigi Masin (音楽家)
なんて素晴らしい楽曲の組み合わせだろう。美しく調和の取れた音楽が、時間が止まったかのようなディープ・ゾーンへと私を運んでくれる。 ー Jonny Nash(音楽家 / Melody As Truth主宰)
「KANNON」は、尺八の多様な奏法をあえて使わずに、シンプルな持続音に徹することで、一音の響きの内的な豊かさと、とても微妙な変化に聴覚を集中させ、重厚なレイヤーのなかの無限の拡がりへと解放される気持になりました。音が現れる瞬間、通り過ぎ、消えてゆく時間が、美しいです。「RAVEN」は、尺八の伸びやかで繊細な音の表情がとても美しく、 ライブ録音とは思えない完成度に驚きました。ムックリの落着いた時間の刻みと調和し、幽冥の次元へと通ずる音楽であると思いました。後半の高い音域とムックリに息を入れて低い倍音を響かせているところも、とても好きです。この緩やかな展開に魅せられました。ー 石川高(笙奏者 / 古歌謡演奏家)
正にディープ・リスニングに相応しい音の心象風景/精神のサウンド・スケープに耳を奪われる。邦楽器の現在地点においても極めて独創的なのではないだろうか。ー 井上薫(DJ / 音楽家)
日頃から「ジャンルとか関係ないよね」とか言いつつ、聴いてビックリ「これ尺八なの?」と自分がいかに既存のイメージに囚われていたことか、言うなれば「耳からウロコ」!非常に耳に心地良く深い響きと、まさに自然環境と一体化して共に呼吸するような音響の展開に、いつの間にか竹林に迷い込み、自分がどこにいるのかわからなくなるような、瞑想の迷宮のような体験。音はすべてを物語る、とあらためて実感しました。音のバランスも絶妙で素晴らしいです。このような即興演奏は、個が唯一性を発揮しながらも全体の調和を成す一部であり、自然界には一つとして同じものが存在しないという忘れがちな驚異を思い出させてくれます。ー 宝達奈巳(ヴォーカリスト/シンセサイザー奏者/作曲家)
古楽器らしからぬアブストラクトなトーンに驚きました。稠密なサウンド・スケープに音楽文化への愛を感じます。ー 森田潤(電子楽器奏者 / DJ)
整いました 現代に必要なセラピーとでも言いましょうか 時間芸術においての時間の意味 心が見えてくる鏡の様な音が描く世界 現代社会に足りてない自分へのご褒美 雅楽の様な宇宙感 尺八にムックリそしてチェロ KENJI IKEGAMIの創造するハイブリッドな音の感覚は眠る遺伝子を奮い立たせてくれる CROSSPOINTからリリースというのも含め まさに 気づく というメッセージが伝わる素晴らしい大切な作品 日常に取り入れていきたい音楽という時間 ありがとう ー MACKA-CHIN (ラッパー / DJ)
山に入り真竹を掘り出し、自ら制作した「地無し尺八」を吹くKENJI IKEGAMI。ブライアン・イーノの「Music For Airport」のように幾重にもレイヤーされた尺八のロング・トーン、テリー・ライリーの精神を継承するチェロ奏者、瀬藤康嗣の変幻自在な即興演奏が浮遊する近未来的ドローン・アンビエント「KANNON(観音)」。尺八が描くパースペクティブな音像にUtaE が演奏するムックリのビブラートが太陽光線のごとく降り注ぐエスニック・アンビエント「RAVEN(渡鴉)」。虚無僧よりはじまる地無し尺八の歴史伝統に敬意を表しながら、あらたな息吹を吹き込む池上健二の音楽は、時空を超えて太古と未来を今に繋ぐ。 ー Chee Shimizu(DJ / プロデューサー)